『舞台版 誰ガ為のアルケミスト』~宛名ノナイ光~

プロデューサー今泉潤からのメッセージ

前回の『舞台版 誰ガ為のアルケミスト』~聖ガ剣、十ノ戒~公演当時の3月は、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されはじめたころでした。

あの瞬間にしか存在し得なかった舞台に観客を入れて完成させたかった。
悔しさが残る公演となりました。

日本から多くの時間が失われている中で、失くしたから無くすのではなく、
無くしたからこそ得るものがあるはずだと考えて、全日程をLIVE配信で開催させていただきました。

「配信だから1回でいいじゃないか?」

そんな意見が多い中で、舞台の醍醐味は、初日から千穐楽まで役者、スタッフの力が掛け合わさり、
劇場に足を運んでくださった皆様の熱気で練り上げられていくものだと、考えたからこその決断でした。

あれから約5ヶ月。
我々、エンターテインメント業界の人間は世の中の情勢を鑑みながらの手探りの状態が続いています。

エンタメは不要不急なのか?
こんな時代だからこそエンタメの力が必要なのではないのか?

エンタメ業界は、出口の見えない危機が続き、果てしない絶望の淵にいます。

そんな中、10月に完全新作『舞台版 誰ガ為のアルケミスト』〜宛名ノナイ光〜
を公演開催することにしました。

従来の舞台は「新しい生活様式」や「3密の回避」など、難しい課題に直面しているエンタメですが、
今の情勢を嘆き、ただ手をこまねいていつかよくなるであろう未来を待つのではなく、今だからこそできる舞台を提案していく姿勢が必要なのではないのか。

そんなことを考えている時、3月の無観客公演が光を射してくれました。

本来舞台は、舞台上で起こるすべてに演出の意図が込められています。

映像の配信では、全体を俯瞰することができずに、どうしても今起こっている出来事のカット割りになってしまいます。役者の表情がよく見えるメリットがありますが、全体の演出は観られない。そんなことを3月公演で感じました。

今回は「VR LIVE配信」と「通常LIVE配信」で同時に全公演配信します。

VRで舞台全体を観ていただいたり、映像で役者の表情を中心に観ていただいたり、様々な楽しみ方をしていただけたら幸いです。

通常の舞台公演では考えられないインタラクティブな演出や、VRゴーグルを装着しての鑑賞などを準備しています。これは、新しい舞台体験になり、今だからこそやる価値のある挑戦だと考えています。

今回は、企画の段階から無観客での公演を視野にいれてきました。
役者、スタッフ、お客様の不安要素を極力減らすことで、すべての人に舞台を楽しんでいただける「心」を整えて欲しいと願ったからです。

今回の舞台の挑戦が、小さな希望に繋がりますように。
そして、誰かの為じゃない、あなたの為の“タガタメ”になりますように。

プロデューサー 今泉潤

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